【カメラ初心者】レンズはズーム? 単焦点? どっちを選べばいいの?

こんにちは。satoです。
今回は、【カメラ初心者】レンズはズーム? 単焦点? どっちを選べばいいの?という話をしようと思います。

Youtubeを眺めていたら動画リストに対照的な2本の動画が並んでいて、ちょっとおもしろいなと思ったので僕も自分なりに自分の考えを書いてみようと思います。

僕の結論をまず言うと、「個人的にはズームレンズがおすすめだけど最終的には自分の使いたいほうを使えばいい」です。

ズームレンズ or 単焦点レンズ 対照的な2本の動画

2人のプロフォトグラファーが持論を展開しているのがこの2本の動画。

西田氏は「初心者にはズームレンズがおすすめ」と言い、菱田氏は「初心者には単焦点レンズがおすすめ」と言っています。

ここで留意しておきたいのは、あくまでもそれぞれの「意見」「個人的な見解」として言っているのであって、それが正しいとか正解とは言っていないということ。

だから、結局のところ最終的にどうするかは見ている人それぞれに委ねられているというわけです。

動画の中では、「こういう理由でおすすめ」ときちんと説明してくれているので、そのポイントが自分に合致すると思うほうを選べばいいと思います。

それぞれの動画の内容について簡単に要点をまとめてみましょう。

「初心者はズームレンズ」派 西田氏の意見

カメラ初心者がズームレンズを買うべき理由を簡単に説明します。 @Wataru Nishida 西田航

  • 「単焦点を使わないと上手くならないんですか?」→「ズームレンズで大丈夫です。24-105mm F4を1本買っておけばとりあえずオッケー」。
  • そのほうがコスパいい。
  • 要は24mm、28mm、35mm、50mm、70mm、85mm、100mm、105mmというレンズが1本に入ってる。
  • ボケに関しても、F4で十分にボケる。
  • 初心者だったら単焦点レンズはいらず、ズーム一本でオッケーです。
  • 昔の写真学校では、50mm単焦点レンズ1本を使って、寄ったり引いたりして背景の整理などを学んだ。これは非常に重要。
  • ただ、だいたいの人はここに辿り着く前にギブアップしてしまう。だったらまずは「楽しく記録できる」ほうがいい
  • なぜ単焦点レンズを使うほうがいいと言われていたか
    ・フィルムの感度は「高感度」でも1600とか。今のような高感度で撮影することが技術的に不可能だった。
    ・AFの面でも、昔は明るいレンズじゃないと無理なことがあった。
    ・それらの技術的な都合でF値の低い(明るい)レンズを使う必要があった。
  • 単焦点レンズはもう1つ上のステージになったときでいい。
  • 自分が仕事で使うとしても、必要な焦点距離の7〜8割は24-105mmでカバーできる。
  • ズームレンズを使っているうちに、自分の好きな焦点距離が見つかってくるはず。
  • 「こういうときはこの焦点距離」というのがわかってきたら、それらの単焦点レンズを買うときが来る。
  • 単焦点レンズはズームレンズに比べて圧倒的な描写性能というのが確かにある。
  • でもそれがわかるようになるには、照明やレタッチといった知識や技術が身についてくることが必要。
  • ざっくり言って20万枚くらいRAWデータを処理する経験を積んでやっと大三元ズームと単焦点の違いがわかってくるかなという感じ。
  • 「ボカしたい」と思うなら、24-105mm F4に加えて50mm F1.8(安くて軽くて小さいレンズ)を買っておけばいい。
  • 経験を重ねていくと、レタッチする上で「単焦点のほうが楽だな」と思うことがある。
  • プロでも撮影条件によって時間がないときや読めないことが多い場合などは大三元ズームを使う。
  • まずは「24-105mm F4を買えばいい」とシンプルに考えて。そしてこのレンズを使い倒して。
  • ボケとかは気にしないで、シャッタースピードを確保して(ブレないようにして)とにかく撮りまくることが重要。
  • その中で自分がよく使う焦点距離の単焦点レンズを買っていく。
  • その頃には「自分がなぜその焦点距離を使っているか」の言語化もできるようになっているはず。
  • そうやって自分の作風というものが確立されていく。
  • ズームレンズを使ってそれぞれの焦点距離を体感していくのが僕の場合は重要だと思う。
  • まずはコスパの良いズームレンズを1本買っていろいろなものを撮影してみて、蓄積された経験値を単焦点レンズに置き換える、という感じでステップアップしてはどうか。

要点をまとめるとこんな感じです。

  • 1つの焦点距離で背景整理や構図の決め方を学ぶことは重要だが、まずは写真を撮ることの楽しさを存分に味わうことのほうがより重要。
  • ズームレンズは単焦点レンズが何本も入っているようなもの。コスパ抜群。
  • ズームレンズはF値が大きめになるが、それでも十分ボケる。
  • ズームレンズを使い倒す、撮りまくることが重要。
  • その中で好きな焦点距離がわかってくるはず。単焦点レンズはそのときでいい。

「初心者は単焦点レンズ」派 菱田氏の意見

【雑談】ズームより単焦点をおすすめします! @Hissy Studio

  • 「個人的には」単焦点を推奨
  • ズームレンズの特徴6つ
    ①焦点距離を変えることによって被写体の湾曲具合が変わる。
    ②焦点距離を変えることによって背景の見え方(画角)が変わる。
    ③焦点距離を変えることによって背景のボケ具合が変わる。
    ④ズーム機構があることによって故障しやすい。
    ⑤ズーム機構があることによって埃が混入しやすい(インナーズームは例外)。
    ⑥単焦点と比べるとF値が暗くなりがち。
  • 単焦点をおすすめする主な理由は上記の①〜③
  • 単焦点レンズのメリット
    ①画角の整理がしやすい。その画角での構図検討に集中できる。ズームではなく自分が移動することで画角の整理ができる。
    ②ズームに頼らず構図を決めたりF値を決めたりする判断力を養える。
    ③背景をボカシやすかったり、ボケ味が綺麗だったりすることが多い。
    ④目的に特化したレンズが多い。「軽くて小さくて安い」「グッと近づいて撮れる」など。
  • ズームレンズは焦点距離を簡単に変えられるせいで複合的に考えるべきことが増えて、頭の中を整理しづらくなる。
  • 単焦点レンズのデメリット
    ①レンズ変更に手間と時間がかかる。
    ②レンズを複数本所有するスペースが必要。
  • 慌ただしくレンズ変更をしていられない場合にはズームレンズのほうが便利。 24mm-70mmのズームレンズを50mmの単焦点と70mmの単焦点として使うといった使い方をすることもある。
  • 旅行に持って行くときなどはズームレンズ1本で済むのは便利。とはいえ個人的にはそういうとき50mmを1本だけ持っていく。
  • ズームレンズはいろいろな焦点距離をカバーできるから便利。
  • 単焦点を推奨しているとはいえ、仕事をする上では必要なのでズームレンズも持っている。 単焦点レンズが壊れたときの保険という意味合いもある。
  • 単焦点レンズは一点集中型で個性があり、そういう個性があるレンズのほうが自分は好き。
  • ズームレンズでも焦点距離を固定して練習するというのはあり。
  • ズームレンズは写りが中途半端になりがちなので、できれば単焦点を使って欲しいと思う。
  • おすすめの焦点距離は50mm。普遍的な焦点距離。

2本の動画における2つの違い

この2本の動画を見ていると、そもそも前提が違うな、と感じるところが2点あると思いました。
その違いというのは、この2点。

  • 「初心者」の定義の違い
  • 写真上達のための「方法論」の違い

それぞれについて考えてみましょう。

「初心者」の定義の違い

この2本の動画を見ていて、「『初心者』の定義がちょっと違うかな?」と僕は感じました。

西田氏のいう「初心者」は、本当に「これからカメラを始める」というまっさらなユーザーを指していて、菱田氏のいう「初心者」は、「ある程度写真のことがわかっていて『上手くなりたい』という欲求がある」ユーザーを指しているように感じます。

確かにどちらも「初心者」といえますね。
ですが、「初心者」の中でもちょっと知識レベルや技術レベルが異なるユーザーという感じはします。

写真上達のための「方法論」の違い

この2本の動画を見ていて、「『写真上達のための方法論』も違うな」と僕は感じました。

西田氏の伝える上達手法は、「とにかく撮りまくり、そのアウトプットから学んでいく」という手法。
菱田氏の伝える上達手法は、「まず焦点距離を固定して、考える+撮ることで学んでいく」という手法。

前者は完全な「習うより慣れろ」の手法ですね。
後者は「考える」という行為もフィーチャーされています。
ただ、本当にまっさらな初心者は「何を考えればいいのか」「どう考えればいいのか」すらわからないことも多いと思います。
「考える」ことができる時点で、ある程度知識と経験のあるユーザーと言えるかもしれません。

自分の価値観やスタンスに合わせて意見を取り入れよう

僕らがこれらの動画を参考にするとしたら、「自分がどの立ち位置か」「どの意見に共感できるか」をまず考えればいいんじゃないでしょうか。
そして、「自分にはこの人の意見がしっくりくる」とか「自分に合ってる」と思う意見を聞けばいいと思います。
何が正解ということはなくて、人それぞれ、自分に合った方法で上達していけばいいんだと思うんです。

結局、使いたいほうを使えばいい

単焦点レンズかズームレンズかと考えたとき、結局のところ「使いたいほうを使えばいい」これに尽きると僕は思います。
「使いたいほう」というよりは「自分に合うほう」と言うべきかな。

だから自分に合うのが単焦点かズームかわかんないんだってば!」っていう声もあると思うし、理解できます。
それについての僕の意見は次に書くことにして、一旦まずは「基本になる考え方」を書きたいと思います。

菱田氏の述べている「単焦点をおすすめする主な理由」は、西田氏も「重要」と言っていますが、西田氏は「そこでギブアップしてしまう人が多い」として「だったらまずはズームレンズで楽しんで」と言っています。
ただ、西田氏は「撮りまくる、ズームレンズを使い倒すことが重要」とも言っていて、「そうする中で買うべき単焦点レンズが見えてくる」とも。

また、菱田氏は「単焦点がおすすめ」としながらも「自分も場合によってはズームレンズを使う」「ズームレンズは便利」とも言っています。
単焦点レンズとズームレンズは、状況によって、また用途によって使い分けるもの、ということです。

だから、絶対的な正解として「初心者は単焦点レンズ」「初心者はズームレンズ」という答えがあるわけじゃなく、

  • 自分がどういうスタンスで写真と向き合いたいか
  • 自分はどういうシチュエーションで撮影することが多いか

を考えてそれぞれが決めればいいことだと僕は思います。

レンズ選びの判断基準

レンズ選びの判断基準としては、たとえば。。。

屋外や広いスタジオなど、自分が動いて被写体との距離を自由に変えられる撮影が多いなら単焦点レンズでいいし、あまり自由に身動きが取れないけど色々な画角で撮影したいならズームレンズがいいですね。

また、旅行先で移動しながらだったり、こどもやペットの撮影だったりで、いちいちレンズ交換をしている余裕がないならズームレンズがいいし、商品撮影や風景撮影などでレンズ交換をしている余裕があるなら単焦点レンズでいいでしょう。

また、西田・菱田両氏が「絶対的な描写力」「一点集中型の個性」というように、単焦点レンズは描写が特徴的なものが多いので、

  • 大口径の高性能レンズで高画質を厳密に追求したい
  • 少しでもF値の小さいレンズでボケを追求したい
  • モデルさんのポートレートを撮影したい
  • 花や虫などを接写したい

といったような具体的なビジョンがあるなら、それに合致する単焦点レンズを買うのがいいですね。

個人的にはズームレンズをおすすめ

さっきも書いたとおり、絶対的な正解として「初心者は単焦点レンズ」「初心者はズームレンズ」という答えはありません。

何を撮りたいのか、どう撮りたいのか、どういう環境で撮ることが多いのか、予算はどれくらいなのか、といった要素を複合的に考えて、自分に合うレンズを選びたいところ。

ただ、「単焦点レンズとズームレンズどっちがいいの?」「自分に合うレンズがわからないよ!」と悩んでしまうくらいであれば、僕はどちらかというと西田派で、廉価な標準ズーム(24-105mmや24-70mmといった範囲の焦点距離のレンズ)を1本持っておけば間違いないと思います。

僕の経験上、「狭い室内で撮影したいけど単焦点50mmしか持ってなくて画角的にキツい」みたいな状況になったことはありますが、標準ズームを1本持っていて困ったことは基本的にありません。

ズームレンズはレンズ交換の手間を省いてくれる便利なレンズ

ズームレンズがなぜいいかって、とにかくレンズ交換をしなくていいところです。
標準ズームレンズ1本あれば、どんなシチュエーションでもだいたいこなすことができます。
この利便性は何にも変え難いと思います。

西田氏も言っているとおり、まさに「いくつもの単焦点レンズが1本に詰め込まれたコスパ抜群のレンズ」という感じです。

例えば狭い室内スタジオでのポートレート撮影では、8畳くらいの広さの室内で、モデルさんの全身から顔のアップまでいろいろな構図で撮影しなければならないような状況もあります。
そんな中、モデルさんはリズム良く表情やポーズを作ってくれるし、撮影者はリズム良くどんどんシャッターを切っていく。
そんなとき、いちいちレンズ交換なんてしていられません。
そういったケースでは、状況に応じて焦点距離を変えながら撮影できるズームレンズは本当に便利です。

他のフォトグラファーはどう考えている?

高価なレンズ1本の予算で廉価なレンズを2本買うという選択

これは僕の個人的な意見ですが、高価なレンズを1本買うより廉価なレンズを2本買うほうがいいんじゃないかと思っています。

たとえば Canon でいうと、単焦点の Canon RF50mm F1.2 L USM か、ズームレンズの Canon RF24-70mm F2.8 L IS USM か、1本どちらを買うか迷うくらいなら、単焦点の Canon RF50mm F1.8 STM 、標準ズームの Canon RF24-105mm F4 L IS USM を2本買っちゃうほうが幸せになれると思います。

確かに、描写性能やボケ味は違ってきますが、だとしても、廉価なレンズだって十分満足できる写真は絶対に撮れます。
もちろん、「満足」の基準は人それぞれだと思いますが。。。

僕自身、普段は Canon RF24-105mm F4 L IS USM をメインで使っていて、場合によっては Canon RF35mm F1.8 MACRO IS STM を使ったり、Canon RF50mm F1.8 STM を使ったり、SIGMA 50mm F1.4 DG HSM Art を使ったりしています。

でも、これらのレンズを使って撮った写真はどれも素敵で、十分満足のいく写真になっています。

何度か Canon RF70-200mm F2.8 L IS USMCanon RF50mm F1.2 L USM をレンタルして使っていて、確かにその描写力が凄まじいことは体感していますが、その都度「高性能レンズさすがだな!」とは思っても「やっぱり廉価なレンズはダメだな」と思ったことは本当に一度もありません。

単焦点 or ズームという話からはちょっと逸れてしまいますが、「1本分の予算で2本買っちゃえばいいじゃん」という発想の転換もありでは? という話です。

というわけで今回は、【カメラ初心者】レンズはズーム? 単焦点? どっちを選べばいいの?という話をしました。
いかがだったでしょうか?
読んでくださったあなたの参考に少しでもなれば嬉しいです。
それではまた次回。

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